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2018.09.06

測量の歴史

測量の始まり

古代エジプト

エジプトといえば、ピラミッド、スフィンクスなどを思いつくかもしれませんが、測量と切り離すことができないことがもう一つあります。それは、ナイル川です。
川と測量、どう関係するかぴんと来ないかもしれませんが、ナイル川により測量と幾何学(ジオメトリー)が発展しました。

ナイル川は、毎年7月中旬、上流にあたるエチオピア高原からモンスーンの影響で氾濫を起こしてきました。この氾濫により上流から肥沃な土壌をナイル河畔にもたらしてきました。
この氾濫により、ほとんど雨が降らないエジプトにおいて、農耕と文明の発展を支えることができました。このことは人々の生活にも大きな影響をあたえ、 氾濫時期を知るためにシリウス暦が作られたり、ナイル川の水位を知るための水位計(ナイロメーター)を各地に設置されたりしました。
このため、氾濫が起こるたびに土地の分配も毎年行われてきました。
この時に使われたのが、「3:4:5」の比率で印をつけた縄(エジプトひも)を張って、畑の直角をとり、氾濫で流された農地の境界を復元してきました。 また、古代エジプト人は死ぬ前に神前で「私は、隣人の土地を盗んだことはない」と誓わないと冥界行きが許されないと信じられてきたくらいに 「土地境界の正確な決定」は重大な問題であったことがうかがえます。 エジプトひもを使って土地を元通りに区割りする「縄張り師」と呼ばれる測量専門家集団があらわれ、エジプトの測量術が発展しました。

その集大成ともいえるのが、ピラミッドに代表される巨大建築物になります。

ピラミッドは最長辺と最短編の差が、平均辺長230.36mに対して、20.07cmしかなく、西北隅から東南隅に向かっての勾配は約1.27cmしかない ほぼ水平であることがわかっています。また、四隅の直角についての誤差は最大3.5′で辺はほとんど正しく真北に向います。
紀元前当時の技術もものすごい精度があったことが伺えます。


▲ピラミッド


▲エジプト ローダ島のナイロメーター